Ravel: Concertos - Falla: Noches en los jardines de España

Ravel: Concertos - Falla: Noches en los jardines de España

「この作品はラヴェルのダークサイドとでも言うべき深遠な楽曲で、最後の一音はまるで絶対に翻ることのない大いなる決断が下されたかのような雰囲気を醸し出しています」。フランス出身のピアニスト、アレクサンドル・タローはApple Music Classicalに対してそう語る。彼がここで言及している作品『Piano Concerto for the Left Hand in D Major, M. 82(左手のためのピアノ協奏曲)』は、ラヴェルが、第1次世界大戦で片方の腕を失ったオーストリアのピアニスト、Paul Wittgensteinのために書いたものだ。「演奏が難しいので、多くのピアニストはこの曲を弾きたがりません」 しかし、タローはこの『Left Hand Concerto』の奥義に大きな魅力を感じている。「危険性も含めて好きなのです」と彼は言う。「ピアニストなら、右手を使わないことに違和感を覚えるはずです。なぜなら通常、楽曲を歌わせるのは右手だからです。この協奏曲は火山の噴火のように激しく暴力的ですらあるのですが、ピアノのパートは非常に丁寧に書かれています。左手のためのコンチェルトは他に30曲ほどあると思いますが、見事にピアノとオーケストラのバランスを保った作曲家はラヴェルだけでした。音楽の歴史の中で最も素晴らしい協奏曲の一つだと思います」 アレクサンドル・タローはこのアルバムで、見事な解釈による『Left Hand Concerto』と、同じラヴェルによる、より有名な両手を使う協奏曲『Piano Concerto in G Major, M. 83(ピアノ協奏曲ト長調)』を対比させている。彼は楽曲のタイプの明確な違いについてこう言う。「構造も、サウンドも、色彩もすべてが異なります。ト長調のピアノ協奏曲はより軽快で古典的で、モーツァルトのような趣を持っているのです」 『G Major』の「第1楽章」と「第3楽章」におけるタローの演奏は、ラヴェルがイメージした快活さと、彼のオーケストレーションに対する鋭い感覚を強調するものとなっている。これとは対照的に、「第2楽章」でのタローは、フランス国立管弦楽団のコーラングレ奏者と詩的な対話をしながら、優雅で落ち着いた演奏を聴かせている。そして彼は、この楽章から受けた感動を思い出すように「ラヴェルならではの魅力にあふれています」とつぶやく。 アルバムの最後を飾る『Noches en los jardines de España(スペインの庭の夜)』は、スペインの作曲家マヌエル・デ・ファリャが、グラナダのアルハンブラ宮殿とコルドバの山地にある場所からヒントを得て書いた3部構成の作品。この楽曲はタローに対して、ラヴェルの協奏曲とは異なる種類の課題を課すものだ。 「ファリャはこの作品において、バレエやオペラのようにリスナーのイメージを喚起したかったのだと思います。ピアノの役割も協奏曲とは違っていて、オーケストラの内部で全体のテクスチャーの一部となっています。つまり、ソリストがはっきりとスポットライトを浴びる場面はそれほど多くありません。おそらくそれが、この曲が今日、コンサートであまり演奏されない理由になっているのでしょう」 タローがラヴェルの作品をメインにした本作にこの楽曲を収録したのには、明確な理由がある。「ファリャは1907年から1914年までの7年間をパリで過ごして、多くのフランス人作曲家たちと親交を持ちました。ラヴェルともお互いをよく知る関係だったので、このアルバムで2人の音楽を一緒に聴くと、彼らのつながりと友情を感じることができるのです」

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