Rachmaninoff: Piano Concerto No. 3 - Tchaikovsky: The Nutcracker

Rachmaninoff: Piano Concerto No. 3 - Tchaikovsky: The Nutcracker

生まれつき全盲だった辻井伸行は、それゆえ他の多くの演奏家よりも多くの困難を乗り越えてスターとなったピアニストとしても知られている。しかし、辻井の演奏は目の不自由さなどみじんも感じさせないものだ。彼が奏でるラフマニノフの『ピアノ協奏曲第3番』は終始魅惑的であり、第1楽章の華麗なカデンツァ(辻井がここで弾いているのは、ラフマニノフが書いた二つのカデンツァの長い方である)は聴きどころとなっている。また辻井は、終楽章に現れるアクロバティックに跳躍するパッセージにおいてさえ決して不快な音を出すことがなく、その音色は常に内面からにじみ出るような温かみを含んでいる。 カップリング曲の中でメインとなるのは、チャイコフスキーのバレエ音楽『くるみ割り人形』の組曲版をソロピアノのために編曲したものだ。辻井による「こんぺい糖の踊り(Dance of the Sugar-Plum Fairy)」は、遊び心とユーモアにあふれている。感情が次第に湧き上がっていくかのような「間奏曲(Intermezzo)」では、チャーミングさと繊細さ、そしてロマン派の幻想曲を思わせる魅惑的な雰囲気が見事に融合している。さらに、ラフマニノフによる「ここはすばらしい場所(How Fair This Spot)」の胸に迫るバージョンをはじめとするいくつかの短い編曲作品が、プログラムを見事にまとめ上げている。 またボーナストラックは、この魅惑的なアルバムについて辻井自身が日本語で語る興味深いオーディオコメンタリーとなっている。