

「コンセプトとしては、LEXというアーティストがLEXというジャンルを作りたいということ。それはリスナーが決めることなんですけど、だからこそ『Original』ってタイトルにしました」。LEXは通算7作目となるアルバム『Original』について、Apple Musicに語る。2024年の前作『Logic 2』以降、多彩なサウンドアプローチを志向しながら、人間的な成長がリリックやエモーショナルなラップに深みや豊かさをもたらした。そして本作では、客演を迎えずに独りでマイクに向かうことで、普遍的な響きが生まれ、さらなる深化を見せている。 「作品を作るごとに、年を取るごとに、自分の考えが変わってきているのは感じていて。昔は自分を大きく見せて、『これだけ俺はすごいんだぞ、だからおまえらもこんな感じになれよ』みたいな曲を作ってたんですけど、もともとそんな悪いことも好きじゃないし、人を傷つけることも嫌なのに、悪ぶってただけだったんですよね。でも、前作と今回の制作では、人の心を動かすアーティストになりたいって思って、そこから全部変わりました」。楽曲制作に対する変化について振り返り、LEXはさらに言葉を続ける。「本当にいろんな音楽が大好きですし、もちろんみんなの曲もやり方もリスペクトしてるんですけど、僕は曲を聴いて、その人の心が癒やされたり、悲しくなったり、幸せになったり、そういう曲たちを作りたい」。ZOT on the WAVEをプロデューサーに迎え、トラップとロックのシャウトを共存させた楽曲が自己肯定感を高める「完璧だ」、2022年に公開してから人気が高まり、ジャークが注目される中で初収録されたエレクトロチューン「Leave Me Alone」、亡くなった友人に向けて紡がれた繊細なバラード「ALONE」など、サウンドの多彩さとLEXの内面的な成長の歯車がかみ合い、破格の説得力を持つ曲が並ぶ。このアルバムについて、ここからは本人にいくつかの楽曲を解説してもらおう。 完璧だ 水風呂に入るようになって4年くらいになるんですけど、風呂上がりに鏡を見て「完璧だ」って思うことがあって、その瞬間を保存して曲に込めました。毎回曲を聴くたびに、リスナーのみんなが自分に置き換えて「完璧だ」って思ってくれたらうれしいです。 BABY 今回のアルバムでは珍しく、人に寄り添った曲。結構ラップ寄りで、伝えたいことはヴァイブスだけって感じです。このアップテンポなビートは、お客さんにモッシュしてもらいたいっていうのが一番にあります。 Leave Me Alone もともとクリスタル・キャッスルズとかが大好きで、(2022年に公開した)この曲はそういうサウンドにインスパイアされて作ったものです。アメリカではテクノとヒップホップを掛け合わせたジャークなどが主流になってきているし、じゃあ今出そうかなと思い、収録しました。 ALONE 自分の周りでもいろいろな出来事があった中で、2025年を迎えられなかった友達がいて。そいつが教えてくれたのは、友達と一生連絡が取れなくなると、こんなに悲しい気持ちになるんだってこと。最期にそれを僕に教えてくれたんだなと思ったし、命って本当にこんなにも大切で、それが失われることで、こんなにもたくさん悲しむ仲間がいる。そういう気持ちを赤裸々に歌にすることで、僕自身だけの問題じゃなく、ファンやリスナーが自分たちの境遇に置き換えて聴いてくれたりして、すごいいい曲になったと思います。この曲は自分でも聴くのが辛いし、友達に「あいつの曲ができたんだよ」って、居酒屋の個室でこの曲を流したんですけど、男6人でボロボロ泣いて。でも、こういう出来事を表現者として曲に昇華させることが僕のやるべきことだし、そう思ったことも含め、その友達には本当にいろいろ教えてもらってる気がします。 億万長者 お金ってツールだし、自分ももちろんお金は必要ですけど、夢を追うためにお金を稼いでる人と、お金のために生きてる人、いろんな人がいる。もちろんみんなのことをリスペクトしてるんですけど、ありのままでいいんだよ、もうすでに持つべきものは持ってるんだよっていうのを僕の考えとして伝えたかった。お金とか物質的なものに向かわないけど、僕らは億万長者。証拠はないけど、気持ちがすべて。