On

On

Ninja Tune レーベルの看板アーティストとして1990年代のシーンをにぎわせた Funki Porcini。2002年リリースのアルバム「Fast Asleep」以来しばらく音沙汰がなかったが、2009年に自身のレーベルから「Plod」をリリースしてシーンにカムバック。そして間を空けずに今回の「On」をリリースした。奇妙で拗くれたビートと夢見心地なサンプルが醸し出す世界観はまさに Funki Porcini ワールド。あらためて彼の作風が時代を超えて成立するものであることを感じさせる。冒頭の “Moog River” からして実に“らしい”センス。名曲「Moon River」が持つ優しげなタッチを引用しながら、トリッピーな音使いで曲を構築。器用なのか不器用なのか分からない愛情表現のようだ(タイトルからするとアナログ・シンセへの偏愛を綴ったラブソングなのかも)。ビート・メイカーとしてのセンスもやはり半端ではないところを披露。トリップホップという言葉を思い出さずにはいられない “This Aint the Way to Live” やジャジーな “Bright Little Things” には昔からのファンもニヤリとさせられるだろう。

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