Nordic Escapes

Nordic Escapes

気鋭の指揮者として世界中を飛び回る人生を過ごしてきたクリスチャン・ヤルヴィ。本作『Nordic Escapes』は、彼にとっての安らぎの場所である故郷に帰還することを意味する作品である。ヤルヴィ自身が作曲し指揮をする多層的で美しい響きを持つ楽曲は、一つ一つが彼の大切な母国であるエストニアの自然や文化が持つ、魂を癒す力への感謝と愛にあふれている。アルバムはかすみがかった海辺の情景を思わせる「In Horizons」で幕を開ける。続く「Nebula」はしっかりとしたリズムを背景にしながらも、きらきらした音色のたゆたうような弦の響きが印象的な楽曲で、ヤルヴィはこの曲とともに家路につく。喜びに満ち、明るい輝きを放つ「Aurora」は、タイトル通り極北の光が天を舞う様子を思わせる。「Frozen Tears」や「Runic Prayer」ではエストニア民謡への敬意が感じられる一方、4分音符のリズムをゆったりと刻む「Kirbu Epiphany」ではスカンジナビアンジャズへの愛情をあらわにし、その息吹を楽しげに取り込んでいる。ラストに収録されているドイツのプロデューサーRobot Kochによる「Nebula」のアンビエント調のリミックスは、多様なエッセンスを含む幸せな音楽旅行の余韻を心地よく広げてくれる。