No.Ⅱ

No.Ⅱ

「めちゃくちゃ楽しい制作だった」。Number_iの平野紫耀はセカンドアルバム『No.Ⅱ』についてApple Musicに語る。前作『No.I』から1年ぶりとなる本作は、3人のこだわりが隅々まで詰まった16曲が収録された。その制作に取りかかったころを神宮寺勇太が振り返る。「最初はみんなで楽曲のイメージをホワイトボードに書いていきました。『チョケチル』とか『めっちゃぶち上げソング』とか。雑談の中から発想が生まれて、そこからどんどん広がっていった」。当初は12曲ほどを予定していたものの、制作が始まると勢いがつき、次々と新たな楽曲のアイデアが湧き出した。スキット(楽曲間に挿入される短い会話劇)にもこだわったと平野は語る。「スキットは作品全体の空気を象徴するものとして、時間をかけて作りました」 制作チームには、デビューシングル「GOAT」から活動を共にするMONJOE、Pecori、SHUNが顔をそろえた。「彼らはNumber_iのファミリー」と岸優太は紹介する。「レコーディングの現場に入ると、まず1時間くらいおしゃべりします。だから必ず時間が押すし、制作が終わってもまだしゃべってる(笑)」。平野も笑みをこぼして同意する。「朝まで作業する時もみんなずっと笑っていて、スタジオがパーティー会場みたいになってる。でも、その時間がすごく大事だと思う。みんなでウェーイって盛り上がる空気感が、そのまま楽曲になっていくから」。テンション高く楽しむ現場から、ひらめきが連鎖するように広がり、メンバーそれぞれのソロ曲やリミックスなど、多彩な楽曲がそろうアルバムが完成した。「最初に思い描いたものを超える作品になった」と神宮寺は胸を張る。「曲間の演出や流れなど全部にこだわって作ったので、全曲通して聴いてもらえると、より面白さが伝わると思います」。ここからは3人にいくつかの楽曲を解説してもらおう。 ATAMI 岸:頭のドラムからサックスにつながる流れがカッコいい! 平野:この生(なま)感、最高だよね。このアルバムをすごく勢いづけてくれる。「明かりを消しちゃって」のフレーズで低い声を出すのがすごく大変でした。もともと低い声だから、さらに低い域を出すとなると、もうゴリラをイメージするしかない。サビはゴリラが歌っています(笑)。 神宮寺:いやいや(笑)素晴らしい声です。おかげで曲が締まりました。 ピンクストロベリーチョコレートフライデー 平野:2024年に発表した「透明になりたい」のストーリーの続きを歌いたいと思って作ったソロ曲。浮遊感のあるトラックをMONちゃん(MONJOE)とSHUNくんに作ってもらって、歌入れはPecoちゃん(Pecori)と話し合いながら、ふわふわとしたドリーミーな雰囲気のラップを作っていきました。 LOOP 神宮寺:tofubeatsさんと一緒に制作させていただきました。トラックはtofuさん節全開でお願いしますと伝えて、デジタルな手触りやストリングスの音色を入れてもらいました。難しかったのは、ボーカルのオートチューンの調整。メロウな曲調なので、オートチューンをかけすぎると邪魔になっちゃうし、でもtofuさんらしさも出したいし…と自分の中でせめぎ合い、最後までこだわり抜きました。 KC Vibes 岸:自分のソロ曲に自分の名前を入れるなんて、最初はいいのかな?って思いました。Pecoさんと話したら「いいじゃん、それでいこうよ」と、最高にカッコいい詞を書いてくれた。トラックは自分で手掛けました。暗い気持ちをちゃんと飲み込んで表現したかったので、いつになくダークな色を込めました。憂鬱(ゆううつ)なムードを楽しんでいただけたらと思います。 Kick Snare Man 2 岸:ある意味笑えるスキットなんだけど、もはや笑えない。すごいシリアスな展開なので、この世界に入り込んでください。 神宮寺:命懸けてやってた。 平野:「ウゥー」ってうなるところは普段のレコーディングの時より喉痛めました。でもここから「2OMBIE」のギャップが、マジでカッコいい。 幸せいっぱい腹一杯 平野:僕がプロデュースした曲。ホワイトボードでは違うテーマだったけど、先にできていた神(神宮寺)と岸くんプロデュースの曲とのバランスを見て勝手に変えました。 神宮寺:臨機応変にね。やばいよね、これ。ぶち上がる。絶対ライブやフェスで映える。 岸:満場一致で、レコーディング中に一番盛り上がった曲。乗りたくなる、動きたくなる。おバカなソングっすね。 未確認領域 (MONJOE Remix) 平野:今回のアルバムの中で一番悩んだ楽曲。俺がプロデュースして、もともとは3~4曲を混ぜたセルフサンプリングみたいなことをやろうと思ったんだけど、テンポが速い曲が多いから結構難しい。最後まで悩んで、発想を変えて「未確認領域」をMONちゃんにリミックスしてもらったら、すごいカッコよくなりました。 i-mode 神宮寺:すごく楽しいけど、終わりが近づく憂鬱感もある。夏の終わりのような、なんともいえない複雑な色の曲です。 平野:なんか切なくなる。トラックは2000年代、平成の空気を感じる。俺ら世代からちょい上ぐらいまでの方にはすごく刺さる曲調だと思います。 神宮寺:いろんなことを思い出す。あの時、あれはあれで良かったなぁ、とか。 岸:このエモさに泣きたくなる人もいるはず。懐かしさもありつつ、ビートに今の空気感も入っていて、すごくいいエンディングになりました。