No Jacket Required (Deluxe Edition) [Remastered]

No Jacket Required (Deluxe Edition) [Remastered]

1980年代初頭、フィル・コリンズはジェネシスの主導権を握り、プログレッシブロックの旗手からトップチャートに君臨するバンドへと方向転換させた一方で、ソロキャリアもスタートさせ、大成功を収めた。フィルにとって最も重要な年といえるのが1985年である。ジェネシスが1983年にセルフタイトルアルバムをリリースしてチャートの1位に輝き、ソロ活動として映画『カリブの熱い夜』のために手掛けたテーマ曲でグラミー賞を獲得した後、コリンズは3作目のアルバム『No Jacket Required』をリリースした。このアルバムは1980年代における彼にとってのピーク作といえるだけでなく、サックスソロに甲高いギター、キラキラしたシンセサイザーにプログラムされたドラムビートという、時代性を定義するサウンドにもなった。ソロキャリアを始めた当初、コリンズは1960年代のレトロなサウンドへのオマージュと、モダンなプロダクションテクニックとの間で揺れ動いていたが、『No Jacket Required』は両者を難なく融合させ、当時のマドンナやプリンス、マイケル・ジャクソンといったポップスターたちと同じく、モータウンとMTVを掛け合わせた派手なサウンドを作り出してみせた。オープニング曲「Sussudio」と、同様のスタイルの「Who Said I Would」では、エレクトロニックを巧妙に加えて、リスナーをダンスフロアへ追い立てるようなシンセサイザーと金管楽器を響かせ、自分の曲でもプリンスの「1999」のようにパーティできるのだと証明してみせた。さらに、ソフトでロマンチックな幻想曲「One More Night」へ忍び込んだり、同じくエキゾチックで不吉な「Long Long Way to Go」では社会性の強い領域へ踏み込んだりと、バラードの名手としてのコリンズのステータスを強固にした作品でもあった。そして全曲がヒットシングルになってもおかしくない本作で(実際半数の曲がそうなった)、コリンズは突出した名曲「Take Me Home」を最後(1985年当時のアナログオリジナルバージョンではラストに収録)に取っておいた。それは彼の1980年代の黄金期を完璧に形にした曲であり、一人の男が狂気へ転落するさまをシビアに描きながらも、天から与えられたとも言える感動的なアンセムとなった。

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