アリス=紗良・オットが本作で焦点を当てたのは、夜という特別な時間帯が持つ神秘性、美しさ、孤独を表現した、3人のフランスの作曲家たちの作品だ。ピュアで魅惑的なドビュッシーの「夢想」では驚くほど的確にコントロールされた落ち着きある演奏を聴かせ、"月の光"では頰をなでる夜風を感じさせるような繊細なタッチでリスナーをとりこにする。サティの手による3曲では心地よい眠りを誘い、難曲として知られるラヴェルの「夜のガスパール」では高い演奏技術と共に、作曲家が題材とした哀しみと恐怖と死にまつわる詩の世界を鮮やかに描き出す。そしてアルバムは「亡き王女のためのパヴァーヌ」で夢見心地に幕を閉じる。
- 2008年
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- ダニール・トリフォノフ
- マルタ・アルゲリッチ, ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 & クラウディオ・アバド