フランス／デンマークのソプラノ歌手Elsa Dreisigは、このアルバムでロレンツォ・ダ・ポンテの台本による3つのオペラからそれぞれ3役、合計12人のモーツァルト・オペラの登場人物を演じる。その歌声はシャープで輝きがあり、完璧な技巧を伴いながら喜びに満ちあふれ、まったく異なる役柄を見事に歌い分ける。Elettra（『Idomeneo』）ではまさに短気者、Vitellia（『La clemenza di Tito』）はクールで計算高く、Fiordiligi（『Cosi fan tutte』）では、キャラクターのとらえがたい複雑さを見事に表現。さらに、Donna Anna（『Don Giovanni』）では、優しさと正義感あふれる怒りを完璧に表現してみせる。ルイ・ラングレとバーゼル室内管弦楽団(Kammerorchester Basel) のスタイリッシュなサポートも含め、優れた名人芸が堪能できるアルバムとなった。