アメリカの現代音楽家マイケル・ゴードンが2004年に作曲した極めて個性的なピアノ曲が "Sonatra" だ。ピアニストは鍵盤の3分の1の範囲を絶え間なく上昇と下降のグリッサンドを続けなければならないというトリッキーさを持つこの作品。演奏者には相当のスタミナと並外れた精密さが求められるため、演奏されることはほとんどなかった。この難曲にカナダのピアニスト、ヴィッキー・チョウ (Vicky Chow) が挑み、再生することに成功。その驚異的な演奏をこのアルバムで聴くことができる。"Sonatra" は平均律による1曲と、まばゆいほどの色彩を放つ純正調によるもう1曲から構成されるが、チョウはその容赦なく続く緊張感を見事に表現している。