

フランスのチェンバロ奏者Jean Rondeauが、16〜17世紀に特有のメランコリーな雰囲気をもった鍵盤音楽を集め、内省的で静ひつな世界を表現したアルバム。イタリア、オランダ、イギリス、ドイツとヨーロッパを音楽で旅しながら、Rondeauはイタリア製バージナルと、18世紀チェンバロの現代版レプリカというそれぞれ強い個性をもった楽器を演奏する。それを半音階が多用されるメランコリー(主にイタリアの作曲家)と、涙を誘うメランコリー(ブル、ダウランド、ギボンズといった主にイギリスの作曲家)によって、楽器を振り分けて演奏しているのが見事だ。佳曲による構成のみならず、Rondeauのセンスあふれる想像力、表現者としての並々ならぬ伝達力を、このアルバムでは深く味わうことができる。