マリア・カラスがオペラ歌手として最も円熟していた1960年代前半に残した、3曲のスタジオ録音からのアウトテイクを収録した作品。パリとロンドンで録音された2曲のベルカント唱法によるアリアでは、オーケストラの団員からの拍手に静かに感謝の意を表し、ベッリーニの『Il pirata(海賊)』のアリアでは、目がくらむほどのクライマックスを歌い上げた後、別のテイクについてスタッフらと無邪気に語り合う姿がうかがえる。ジョルジュ・プレートル(フランスオペラにおけるカラスの大きな協力者)の指揮によるマスネの『マノン』からの抜粋は、彼女が尊敬するアーティストと対等な立場で仕事をしていることを示しており、そこには一般的なイメージとかけ離れたカラスの姿がある。ステージ以外の場では、尽きることなく劇的で激しい人生を送った彼女だが、オペラ歌手として完璧さを追求する姿勢は、最高のプロ意識が根ざしていた。
- Юсиф Эйвазов & アンナ・ネトレプコ
- ガブリエレ・サンティーニ & RAI国立交響楽団
- チェチーリア・バルトリ, イル・ジャルディーノ・アルモニコ & ジョヴァンニ・アントニーニ
- カルロ・リッツィ & ウェールズ・ナショナル・オペラ管弦楽団
- ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, チョン・ミョンフン & Alban Gerhardt
- ナディーン・シエラ, ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 & ロバート・スパーノ
- ジョージ・ロンドン, ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 & ハンス・クナッパーツブッシュ