

元ディズニーチャンネルの子役スターだったサブリナ・カーペンターは、2014年にデビューシングル「Can’t Blame a Girl for Trying」をリリースしてからの10年間、自分のスタイルをじっくりと探し求めてきた。その努力が報われたのは2024年。一度聴いたら忘れられないほどキャッチーなシングル「Espresso」と「Please, Please, Please」が、彼女をポップスターダムの新たな領域へと押し上げた。そして2024年8月に発表した6作目のアルバム『Short n’ Sweet』で、甘い歌声と少し芝居がかったユーモラスな言い回しを好む、鋭いウィットに富んだディーバとして再び登場し、初受賞にして2部門のグラミー賞(最優秀ポップボーカルアルバム賞と最優秀ポップソロパフォーマンス賞)を獲得した。 2024年最大のブレイクを果たしたポップスターは、『Short n’ Sweet』に続いて、わずか1年で本アルバム『Man’s Best Friend』を発表。1970年代のディスコへの愛を軸に、皮肉とユーモアが漂う自虐的なカリスマ性をにじませた、無駄のない12曲入りの作品という彼女のスタイルは本作にも継承されている。共同ライターにおなじみのジャック・アントノフとAmy Allenを迎えたリードシングル「Manchild」は、「Oh, boy(なんてこった)」というカーペンターの含み笑いの声で始まり、彼女がどうしても断ち切れない、無能で“使えない”男たちに対する皮肉を込めたカントリー風の風刺ソングに仕上がっている。 アルバム全体には恋愛の失望感が色濃く漂うものの、「Never Getting Laid」で元恋人の生涯禁欲を願ったり、南部訛りの鼻にかかったような声で歌う「Go Go Juice」では酔って昔の恋人に電話したりと、26歳になったカーペンターのユーモアのセンスは健在だ。ドリー・パートン、カーペンターズ、アバ、ビー・ジーズといった自身のヒーローたちに影響を受けたサウンドに乗せて彼女がつづる歌詞は、現代の恋愛の退屈さを、ウィンクと絶妙なタイミングの下ネタを添えて描き出す。ニュージャックスウィングにインスピレーションを得た「House Tour」では「I promise none of this is a metaphor(別に深い意味があるわけじゃない)」と歌い、こう締めくくる。「I just want you to come inside(ただ、あなたに中に入ってきてほしいだけ)」