ハリウッドからヨーロッパに帰還したボウイがブライアン・イーノを共作者に迎え入れ、苦境からの再起を図った野心作。R&Bのリズムセクションを苗床に前衛的なポップサウンドが万華鏡のように連なったアルバム前半のハイライトは"Sound and Vision"だろう。当時はまだ珍しかったハーモナイザーを通したスネアドラムの音は実に画期的。ロックというアートフォームから大きく逸脱するような実験的インストルメンタル曲が並ぶ後半では、彼が心酔するドイツの電子音楽とイーノが持ち込んだアンビエントの方法論が大胆に結びついて、"Warszawa"のような荘厳なシンフォニーとなって花開いた。心に巣食う最もダークな部分を掘り下げ、新たな音楽表現に落とし込むことに成功した金字塔。