It Is What It Is

Thundercat

It Is What It Is

Stephen BrunerがThundercat名義で発表する4作目のアルバムは、喪失感に覆われている。愛の喪失、制御の喪失、そして、2018年9月に薬物の過剰摂取で亡くなる数時間前に、電話で愛のメッセージを交換していた友人のマック・ミラーの喪失だ。とはいえ、彼は悲しみに浸っているわけではない。2017年のアルバム『Drunk』は、ベーシスト/シンガーソングライターのThundercatを、ジャズフュージョン界の変わり種から21世紀のブラックミュージックシーンを代表する先駆者へと変身させた。新作『It Is What It Is』は同様に、ほとんど宇宙感覚のユーモアセンスで束ねられている。"I may be covered in cat hair(俺は猫の毛に覆われているかもしれないが)/But I still smell good(でも良い匂いがする)/Baby, let me know, how do I look in my durag?(ベイビー、俺のドゥーラグ=ハチマキは似合っているかい?)”というひたむきなR&Bにつづられる洗練されたアフロジャズ「Innersteller Love」や、死の必然性に対する抽象的概念の「Existential Dread」、そして友人ルイス・コールへの愛を歌ったチップチューンスタイルのパンクが並ぶ。「ああ、ここ数年は興味深い月日だったよ」と彼はため息混じりにApple Musicに語る。「でもバカになれる余裕は常にあったんだ」。そこから浮かび上がるのは、タイトルが示唆するように、物事の善悪や悲喜をどれほど分類しようとしても、それ以外にはあり得ないということだ。(前作のアルバム『Drunk』と同様、今回ゲストに招いた面々はBrunerの並外れた人脈によるものと思われるが、Miguel Atwood-Ferguson、ルイス・コール、共同プロデューサーのフライング・ロータスらLAの博識家たちから、Childish Gambino、Ty Dolla $ign、元Slaveのシンガー、スティーヴ・アリングトンといった、なかなか一筋縄ではいかない連中だ)禅から学んだ教訓を持って、収録各曲の解説にあたるBruner。「アルバムはただの一部に過ぎない。物語の一部なんだ。だからこのアルバムはそんなタイトルにした。僕は(友人マックの死によって)よりクリアな人生観を持てるようになった。まだここに居られるだけで幸せだと思うよ。

Lost in Space / Great Scott / 22-26
Scott Kinsey(キーボード奏者の)と一緒にちょっと遊んでいたんだ。イントロはさりげないものが好きだ。人に何かを紹介するわけだからね。これから楽しいことが起こることを、みんなに予感させるんだ。

Innerstellar Love
宇宙で迷子になっていたかと思ったら、いきなり目標へ突っ込む。この感覚は、カマシ(・ワシントン/sax)と兄(ドラマーのRonald Bruner, Jr.)と僕の出自へのちょっとしたオマージュなんだ。すごくジャズっぽくてブラックで、とても宇宙空間的なんだ。

I Love Louis Cole (feat. Louis Cole)
タイトルの通り、ルイス・コールは間違いなく僕のお気に入りのミュージシャンだ。パフォーマーとしてだけでなく、ソングライターやアレンジャーとしてもね。(コールは博識なソロアーティスト/マルチプレーヤーで、Knowerというグループのメンバーでもある) 最後に一緒に仕事ができたのは『Drunk』の「Bus in These Streets」だった。彼には刺激されるよ。もっとうまくできるってことを思い出させてくれるんだ。ルイス・コールのような人と一緒に過ごすことができて、とてもありがたく思っている。それなのに、僕ときたら彼の友人を殴ったり、彼の洗濯カゴの中で寝ちゃったり…。

Black Qualls (feat. Steve Lacy, Steve Arrington & Childish Gambino)
この曲はSteve Lacyが名付けた。"Qualls"は"walls"の別の言い方なんだ。black walls(黒い壁)ってのは今のアメリカにおいて若い黒人男を意味するような感覚なんだ。遠い昔、黒人は読むことさえ許されていなかった。もし読んでいるところを見つかったら、家族の前で殺されたんだ。だから黒人として育つと ー200年後の今もー 富や知識を隠すようになる。バリアを張って、自分自身を守ろうとするんだ。この精神的な足かせは、やっぱりおかしいと思う。少なくとも僕に言わせれば、捨て去るべきものだ。でもそれはただ黒人ということ以上に、人間としての問題なんだ。世の中には不安をあおるものがあふれている。それはインターネットのせいでさらにひどくなってしまった。自分が何者かを知っておく必要がある。そんな考えを持っていれば大丈夫だってことだよ。

Miguel’s Happy Dance
この曲ではMiguel Atwood-Fergusonがキーボードの演奏とストリングスのアレンジもしてくれた。またあまりヘヴィなことは言いたくないけど、ここ数年は辛かったんだ。だからMiguelのハッピーなダンスを楽しむのさ。

How Sway
スピードが速めで、演奏するのが難しいくらいの音楽を作るのが好きなんだ。この曲は本当にそんな感じ。ちょっとした練習みたいにね。

Funny Thing
ここにあるラブソングに説明はいらないな。でも、ユーモアが理解できて、笑えるものであるべきだよね。

Overseas (feat. Zack Fox)
ブラジルは世界中でも僕が移住したいと思える場所なんだ。サンパウロ。一日中オレンジジュースを飲んで、指にタコができるまでベースをプレイしたい。それが一番さ。でも、日本もあるんだよね、日本。それにロシアも!政治についてはいろいろ知っているけど、それはそれ。でもロシアの人たちは最高だよ。すごくクレイジーだけど、いけてるんだ。

Dragonball Durag
(ドラゴンボールの)ドゥーラグ=ハチマキは究極のパワーアイテムだ。超能力とかではなくて、それは世界中で理解されているよ。ドゥーラグをしている人としていない人がいるんだ。個人的にはいつも持ち歩いている。ねえ、ドゥーラグを着けたデヴィッド・ベッカムがチャールズ皇太子と握手をしている写真を見たことある?ヴィクトリアはさながら彼のパンツを破って剥ぎ取りたいような顔をしているよ。

How I Feel
「How I Feel」のような曲に隠された意味などないよ(笑)。6歳の頃に『ケアベア』を観ていたらひどく悪いことが起きたというわけでもない。でも確かに『ケアベア』は観ていたけどね。

King of the Hill
これはBADBADNOTGOODと一緒に作った曲。少し前にBrainfeederの10周年記念のコンピレーションアルバムで発表したんだ。このアルバムに入れるかどうかで少しもめたんだけど、最終的には入れるのが正しいと思った。常にいろんな人とコラボするための場所や時間を探していても、僕はある街にいて相手は別のところにいて、みんな動き回っているからね。ここで僕らはようやく同じ部屋にいられるチャンスを得たから、飛びついたんだ。でも僕はあらゆるコラボに対してオープンでいようと思っている。マジックはマジックだよね。

Unrequited Love
恋愛がどんなものかは知っているよね。時には勝って、時には負けるんだ(笑)。でも本当は笑えないよ(笑)。時には…(笑)…傷つけられるからね。

Fair Chance (feat. Ty Dolla $ign & Lil B)
僕とTyは多くの時間を一緒に過ごしている。Lil Bの方がより近しい関係だったけど。僕らはうまくいく方法を模索していた。とにかく気が合う人っているだろう?これをきっかけに僕らはもっとコラボするようになるはず。ここが出発点だ。でも正直言って、今回は不幸な一連の出来事があって実現したんだ。僕らは全員、亡くなったマック・ミラーと仲が良かったんだよ。これは僕らみんなにとっての節目となった。あの瞬間、みんなが親密さを自覚したんだ。

Existential Dread
わかるだろう、歳を取るってことだよ(笑)。

It Is What It Is
曲の真ん中で「やあ、マック」と言っているのは僕だよ。あれは友だち(亡くなったマック・ミラー)に別れを告げるチャンスを得た僕なんだ。

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