L.I.T.A.N.I.E.S

L.I.T.A.N.I.E.S

2020年に新型コロナウイルスがもたらした困難の真っただ中、ベルギーの作曲家ニコラス・レンズは人気のないブリュッセルの通りを自転車で走っていた。彼は神聖なまでに静まり返った街の中で、かつて訪れた神奈川県にある臨済宗の寺院を思い出したという。その寺院こそ、レンズが『L.I.T.A.N.I.E.S』の着想を得た場所なのだ。彼のオファーを受けた奇才マルチアーティスト、ニック・ケイヴが書き下ろした台本に合わせてレンズが制作した音楽は説得力にあふれた組曲となって、その一曲一曲がリスナーに時が止まったかのような感覚を与える。歩みを止めざるを得ず、自分自身と深く向き合うことになった私たちの思いを代弁するかのようでもある。ケイヴの一風変わった心に残るテキストは誕生から霊的な再生に至る人生の軌跡を表現し、その感動的な呪文のようなフレーズは、研ぎ澄まされながらも不安げな表情を見せるレンズの音楽の中で幻のように漂う。そしてレンズとケイヴは魅力的な4人の歌手と室内アンサンブルと共に、息が詰まるほど緊密な音空間を生み出している。

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