10代にして頭角を現した東京発4人組バンド、chilldspotのファーストアルバム。タイトルの『ingredients』は“素材”を意味し、収録された11曲をchilldspotが擁するさまざまなジャンルの“素材”と見立て、ここからさらに多彩な楽曲を生んでいくという意図が込められている。シティポップやオルタナティブロック、ヒップホップなど多様なエッセンスをブレンドしたグルーヴィなサウンドには、音楽を時代やジャンルでくくらずに聴く彼らのしなやかな感性が宿る。比喩根（Vo）の手掛ける歌詞は、19歳という大人でも子どもでもない季節を生きる不安定な気持ちが描かれ、それは先行きの見えない時代の空気感とも響き合う。変則的なリズムとバラエティ豊かなリフを緻密に構築した技巧的なナンバー「dinner」や、アコースティックギター1本でシンプルに歌う「私」など、振り幅の広い音楽性が、この先どこへでも行けるバンドの果てしない可能性を示している。