

欧米、アジア各国でもリリースされ、ポップアーティストとしての一つの極みをマークした通算5枚目。今まで以上に大きく強くなったメロディと言葉をたたえた歌曲に、奇妙なエキゾチシズムを浮かばせるインスト曲も随所に挿入された力作。前者でのスケールアップしたバンドアンサンブル、後者でのカートゥーンミュージックを思わせる動きの多彩さや音そのものが秘めているキャラクターの豊かさ、リスナーの意表を突く展開などは特筆すべきだろう。そして、その両者が次々と姿を現しては消えて行くマジカルな構成で、ハイブリッドポップとでもいうべき、ユニークな地平へと彼が到達したことを伝えている。耳なじみはよくても、いつでもクエスチョンマークを忍ばせることを忘れない、何度聴いても興味が尽きない作品だ。