I Said I Love You First

I Said I Love You First

32歳にしてすでに人生の約3分の2を有名人として生きてきたセレーナ・ゴメスは、紹介不要のマルチアーティストだ。そんな彼女の4作目のアルバムは、これまで大量のヒットシングルを手掛けてきたプロデューサー兼ソングライターで、彼女の婚約者となったベニー・ブランコと初めて共同制作したアルバムでもある。(ブランコにとっては、フィーチャリングをふんだんに取り入れた2018年の『FRIENDS KEEP SECRETS』に続く2作目のアルバム。)2024年末の婚約発表から間もなくしてリリースが告知された全14曲のコラボレーション作は、まるで2人の関係そのもののように、計画も無理もなく、自然と楽に生まれた作品のようだ。「寝室で始まったアイデアだった。『何か楽しいことをやってみようか』って感じで」と、ブランコはApple MusicのZane Loweに語る。難なく形になっていった曲の数々は、ゴメスとブランコが共に長年の付き合いのあるソングライターのジュリア・マイケルズや、Justin Tranterと一緒に作った曲も多いという。「すべてがしっくりきたんだ。うそみたいにうまくいった」 曲の大部分がブランコの自宅で書かれ、レコーディングされた『I Said I Love You First』は、パワーカップルのラブストーリーを広角レンズでズームアウトするようにして、過去の失恋や過ち、そして自分を疑う瞬間までをも映し出す。「Younger And Hotter Than Me」では、ゴメスはラナ・デル・レイを思わせる繊細さと辛辣(しんらつ)さのバランスを取りながら、かつての恋人にやんわりと皮肉を投げ掛け、「私たちは年を取るばかりなのに/あなたのガールフレンドたちは違うみたいね(We’re not getting any younger/But your girlfriends seem to.)」と歌う。一方、ブランコが1980年代のシンセポップビートを駆使して作り上げる「ダイナミックに物悲しい」雰囲気は、ダンスフロアで泣くのにも、モダンポップ界のアイコン的サッドガールに名を連ねてきたゴメスのレガシーを際立たせるにもぴったりだ。ゴメスは「Ojos Tristes」をスペイン語で歌ったり、グレイシー・エイブラムスを迎えた「Call Me When You Break Up」で不用意なボイスメールを残したり、「Bluest Flame」ではリスペクトを込めてチャーリーxcxの物まねを披露してみたりと、さまざまな顔を見せる。甘くなり過ぎる危険性を回避させるのは、皮肉を込めたユーモアだ。意味深な「Sunset Blvd」では、2人がハリウッドの通りで裸になって抱き合うそばで、不審に思った通行人が警察を呼ぶ場面が描かれる。「アルバム作りの最初から最後まで、浄化されるような、美しい経験だった」と、ゴメスは言う。「しかも、親友と一緒にそれができたんだから」

もっと見る