HOWL

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「今回のアルバムは、オオカミのように吠(ほ)え合って、共鳴を起こすことで、ポストコロナの世界でまだ会えない人やライブに来られない人たちとの見えないつながりを信じられるんじゃないかなという思いがテーマになっています」。ROTH BART BARONの三船雅也は通算7作目のアルバムとなる本作『HOWL』について、Apple Musicに語る。 ウィズコロナの日々が続く中、彼と仲間たちは2020年の『極彩色の祝祭』、2021年の『無限のHAKU』と、コンスタントにアルバムを発表し、それらの作品において、困難な時代をサバイブするための思索を深め、音楽的な試行錯誤を重ねてきた。「今回の制作期間においては、『月に吠える』という楽曲ができた時、この楽曲がアルバムの核になりそうな強い予感がしたと同時に、曲から中村佳穂さんの声が浮かんだんですよね。吠え合うオオカミのイメージを具現化するために、自分ではないシンガーに歌ってもらうというアイデアを表現したくて、彼女に連絡しました」 静謐(せいひつ)な楽曲によってアンビエントな空間を生み出した前作『無限のHAKU』に対して、三船と中村のデュエットボーカルが躍動する「月に吠える」で幕を開ける本作は、バンドの内なる衝動性やエネルギーを解放したアルバムだ。ルーツミュージックに根差したオーガニックなバンドサウンドのダイナミズムと、現代的なエレクトロニックミュージックの反復がもたらす高揚感を楽曲に注ぎ込むことで、バンドは大きく前進。未完成のまま5年間にわたって試行錯誤を続けていたという楽曲「HOWL」はついに完成を迎え、アルバムタイトル曲として大きな存在感を放っている。「『HOWL』は、これまで何度レコーディングしてもしっくりこなくて。悩みながら、アルバム4作分ぐらいレコーディングをしてきた曲だったんですけど、今のバンドだったら本当にこの曲を最大限に表現できるかな、と。場所を失ってしまった誰かの歌というか、パンデミックが起きて、人間が何千年もかけて作ってきた都市の意味が損なわれた世界において、もう一度最初から“場所”を作らなきゃいけないのかもしれないし、この曲がその“場所”になるべきだよなと思ったんです」 2018年からオンラインコミュニティであるPALACEの運営を始め、バンドとファンが一体となり、ライブ運営やアートワークの作成を行うなど、“場所”を意識した活動を続けてきたROTH BART BARON。この作品に呼応するオオカミの吠え声は、バンドを新たな地平へと導くことだろう。

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