

大阪を拠点に活動を続ける3ピースバンドのファーストフルアルバム。過去のシングルやEPで断片的に示されてきた彼らのサウンドコンセプトが、緩やかなうねりとともに長編の物語のように昇華されている。過ぎ去った日々の記憶をモザイクで組み直すようなメロディと、これから起こることを幻視するかのような未来的な音響。その2つが織りなす彼らのサイケデリックなサウンドは、過去と未来を混ぜ込みながら描き出していく。エッジーなギターが際立つ「Try」から、のどかな雰囲気を見せるチェンバー調の「A Whale Song」まで、曲のバラエティは多彩。惠翔兵(G/Vo)と恵愛由 (B/Vo)の兄妹によるツインボーカルも楽曲に奥行きを与えている。ポストロックやシューゲイザーなど、海外のインディーギターシーンにも通じるエッセンスを巧みに取り込みながらも、感情の機微を丁寧にすくい上げていく細やかさや、行間を読むような独特のテンポ感に彼らの個性が現れている。