HELLO EP

HELLO EP

Official髭男dismが、2020年8月にリリースした『HELLO EP』。本作を、メンバーの藤原聡(Vo/Key)は「故郷でバンドを結成し、上京してきたころの自分たちに縁のある作品」と表した。曲の原案は上京前に出来上がっていたという「HELLO」、バンド結成時のひたむきな演奏に心打たれて生まれた「パラボラ」、上京に際する心の葛藤やバンドのあるべき姿についてつづった「Laughter」、アマチュア時代の音源に収められていた「夏模様の猫」の4曲を収録している。各曲に込められた思いを、藤原と、同じくメンバーの松浦匡希(Dr)に語ってもらった。HELLO藤原:曲の原案は2016年に上京する少し前に出来上がっていたのですが、当時はカッコよく演奏できなくて、この曲はアリーナやホールといった規模で鳴らせる音を出せるようになったらやりたいという気持ちがありました。その後、ホールツアーや大きなフェスを経験し、今回あらためて演奏してみて、しっかりと胸を張って、地に足をつけながら、でも推進力はしっかりとあるグルーブが作れるようになったんだなと実感できてうれしかったです。松浦:ドラムの演奏でいうと、三連のリズムは走ってしまいがちで難しいところがあるのですが、どっしり構えてたたけました。これも大きな会場での演奏経験が生きてきているところだと思います。藤原:この曲で歌いたかったのは「自分の日々は仲間がいてこそ光り輝く」ということでした。期せずして、新型コロナウイルスの影響で活動を自粛したことにより、メンバーやファンの皆さんとかかわる機会が少なくなったことで、そのことを肌で感じました。パラボラ藤原:バンドを始めたてのころって「これはしちゃだめ」とか「こうした方がいい」というルールに縛られずに活動していて、音楽的なレベル云々ではなく、その姿勢や、音が放つひたむきな感じに心打たれることがあるんですよね。自分たちの昔の音源を聴いてもそう感じることがあって、そこに勇気をもらって、何年後かに自分たちが聴いたときに背中を押されるような音楽が作りたいと思って書いた曲です。アレンジについては、初めはもっと真っすぐな感じにしようと話をしていたのですが、やはり今の自分たちならではの味付けをしたいという話になって。松浦:ストレートすぎるとつまらない気がしたんです。これまでいろんなビートを作ってきた経験を生かしたかったんですよね。まず骨組みになるビートを作って、そこに細かいリズムを付けていったことで、今の僕らならではの、キャッチーでありつつも面白いビートメイクができたと思います。Laughter藤原:この曲は、音楽活動のために上京する自分たちのことを描いたものです。当時のことを思い返すと、まず両親や祖父母をどう説得するかというのが大きな課題でした。そのころ僕は銀行に勤めていて、それを辞めて上京するということで、なかなかハードルが高かったですね。松浦:うちは比較的、理解してくれました。メンバーのことも知っていたし、4人の音楽に対する熱意も感じ取っていたらしく、頑張ってこいよと声をかけてくれて。藤原:とはいえ心の中では心配してたでしょう。ただ松浦が言うように4人の音楽に対する熱意は、地元でデビュー盤をリリースしたときの活動を見てくれていたこともあって伝わっていて、最終的には送り出してくれました。住み慣れた街を離れる不安はあったのですが、それよりも仕事などを抱えたことにより各々の音楽に割ける時間が少なくなってきていることが嫌で。この4人で、より良い音楽を作るために東京に出てきたという気持ちも強いですね。松浦:地元で時間がたっぷりあったころは、デカいタヌキが現れるような田舎にあるガレージみたいなスタジオで、夜中から朝まで、みんなで一緒に音を出せたので、すごく成長できたと思います。藤原:“テンスタ”と呼ばれるスタジオでした。冬は極寒、夏は灼熱で環境は良くなかったですけど、時間を気にせず音楽を突き詰めることができて、ロックからブラックミュージックまで、自分たちがいいと思ったものは何でも取り入れるスタンスはそのころ出来上がったものだと言えます。そんな、4人で音楽をやる時間を一番に持ってくるために上京してきたわけですが、ありがたいことにたくさんの人に聴いてもらえるようになってからあらためて感じたのは、売れること、成功することが大事なのではなく、良い音楽ができて、メンバーで喜び合って、ライブで演奏してみんなで共有することの幸せを感じられることが大事なんだなということ。そういう気持ちも込めて作りました。夏模様の猫藤原:アマチュア時代の、ほとんど手売りだけで流通したCDに入っていた曲です。そのCD、メンバーの実家には100枚ずつくらいはあると思います(笑)。当時と同じピアノと歌だけの構成ですが、多少うまくはなっているかも…?松浦:めっちゃうまくなってるよ!藤原:お気遣いありがとう! あえてリアレンジせずに当時のまま演奏しています。あらためて音源化してほしいという声をいただくこともあり、しかも今回、昔の自分たちに縁のある楽曲がそろったEPということで再録を決めました。この曲以外の3曲が集まったときに、最後にもう少しだけ音楽を楽しんでほしいと思って入れたものなので、楽しんでもらえたらうれしいです。このアルバムはApple Digital Masterに対応しています。アーティストやレコーディングエンジニアの思いを忠実に再現した、臨場感あふれる繊細なサウンドをお楽しみください。

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