ドイツ出身のヘンデルは20代の頃、当時最先端の音楽を生み出していたイタリアの各地を渡り歩き、さまざまな刺激を受けながら数々の名曲を作り上げた。中でも貴族の邸宅で演奏するためのいわば小さなオペラであるカンタータの需要は高く、ヘンデルのカンタータのほとんどはイタリア時代に書かれたものだ。羊飼いの恋の物語であり、ヘンデルの作品の中でも最も高い歌唱技術を要するとされる「Aminta e Fillide」では、新進気鋭のソプラノ歌手サビーヌ・ドゥヴィエルと古楽を得意とするメゾソプラノ歌手レア・デザンドルが、巧みで優雅なパフォーマンスを披露している。また、「Armida abbandonata」はヘンデルのあふれる才能が感じられる作品であり、彼の代表的なオペラにもまったく引けを取らない魅力を持つ。それらを鍵盤奏者で指揮者のエマニュエル・アイムが率いる古楽アンサンブル、ル・コンセール・ダストレのみずみずしく生き生きとした演奏がしっかりと支えている。