

ジョナス・ブラザーズの7作目となるスタジオアルバム『Greetings From Your Hometown』は、かつてリリースと同時にスーパーティーンアイドルの座に押し上げたデビューアルバム『It’s About Time』(2006年)の制作に没頭していた頃から20年という歳月を経て登場。その節目の年を迎え、メンバーもノスタルジックな思いを抱いているようだ。アルバムは全体的にアップビートな作品だが、後悔の念と未来への希望が絶妙なバランスで表現されている。活気あふれるポップロックアンセムの「I Can‘t Lose」と、Marshmelloとコラボレーションした穏やかなフューチャーベース「Slow Motion」の2つのキラーチューンの間に、アルバムの中核となる感情をちりばめ、一度思考の深淵に沈んだ後、次第に情熱的な高揚感を携えながら広大なロマンスの空へと舞い上がる構成だ。 傷心に思いあぐねる「Backwards」、内省的な哀歌「Loved You Better」、そして新たな門出に明るい希望を見いだすタイトルトラック「Greetings From Your Hometown」へと続く一連の流れは、さながら愛と喪失をつづった3部作のよう。また「Waste No Time」では、プロデューサーのライアン・テダーらしい含みのあるリズムと一風変わった耳に残るメロディが光る。一方、オルタナティブポップバンドMUNAのギタリストであるJosette Maskinと共同作曲した「Heat Of The Moment」「Bully」には、MUNAを思わせる淡くドリーミーなテイストが感じられる。余計なものをそぎ落とした本作『Greetings From Your Hometown』には、かつてファンを魅了し、兄弟を一躍有名にした初期の真っすぐな魅力が息づいている。そして、洗練された仕上がりは、ジョナス・ブラザーズが純真な若者から円熟したアーティストへ成長したことを映し出す。それでも、自らの成長の度合いを知るためには、原点に立ち返ることも時には必要なのだ。