1989年のバンド結成から、長らく日本のオルタナティブ・ロックを牽引し続けてきた3ピース・バンド、the pillows。前アルバム「OOPARTS」から約1年3ヵ月ぶりとなるニュー・アルバムは、「ツノよ再び」というタイトルが示す通り、バンドのトゲトゲとした攻撃性が前面に出た作品だ。ダウナーなイントロから次第にサウンドが熱を帯びるオープニング曲 “Limp tomorrow”、一転してポップでライブ映えしそうなナンバー “Give me up”、the pillows らしいストレートな疾走感が心地よいシングル曲 “Movement”、アルバム中最もメロウでビターなラブ・ソング “Lily, My Sun” と、アルバム冒頭から一気に作品の中に引き込まれてしまう。まるでバンドの原点を唄ったような “Biography”、今なお未来へ夢を見ている気持ちを歌った “Nobody Knows What Blooms” と、リスナー側に寄り添った詩世界も the pillows ならでは。バンド・キャリア20年を超えてなお、少年の気持ちでロックを鳴らし続ける彼らのだからこそ歌える、瑞々しい刺激に満ちたアルバムだ。