Generic - EP

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「テーマは特に決めずに出来た曲をパッケージしました」。ラッパーのBIM、VaVa、in-d、JUBEE、DJのdoooo、映像作家のHeiyuuからなるクルー、CreativeDrugStoreのEP『Generic』について、BIMはApple Musicに語る。「前作は全曲4MC全員参加だったんですが、そこも自由に。ビートもメンバー内で共同制作したり、すごく楽しみながら作った感じです。30代になってもみんなでこんなにワチャワチャやってていいのかなって思うんですが、多分いいんだと思います」 2023年のファーストアルバム『Wisteria』では、前年の結成10周年を経て、個々の活動で培った多彩な個性の一体感が凝縮されていたが、本作では土台を確立したCreativeDrugStoreという秘密基地でそれぞれが音と言葉で遊び倒した結果、6曲の自由極まりないアウトプットが生まれた。「同じことをずっと続けて、各々の遊び場を確保していくことってすごくイケてる。俺らが出来てるのかは分からないけど、そうでありたいとはずっと思ってます」とBIMは言う。 ウェスト・ロンドン出身のシンガーソングライター、オンリー・リアルのギターをフィーチャーした「Up & Down」をはじめ、YENTOWNのU-LEEが重厚でサイケデリックなビートを紡いだ「Noisy」、DJ MAYAKUのフォーキーかつトライバルなビートをリラックスしたフロウで乗りこなす「Generic」など、どの楽曲もリリック、ビート共に彩りと遊び心にあふれている。クルーとして新たなステップを踏み出す本EPの収録曲について、BIM、VaVa、in-d、JUBEEの4人に解説してもらおう。 Sydney VaVa:前作のアルバム『Wisteria』ではMC4人全員がしっかりラップをするクルーソングを制作していましたが、今作ではもっと自由になり、僕とBIMの2人でこの曲を作りました。歌詞もお互い何も縛らず好きなように書きました。テーマがあって書いたわけではなく、そのまま。アウトロに笑い声が入ってますが、これは制作過程で笑っていたシーンをそのまま使ってます。THE OTOGIBANASHI'Sの制作を思い出しました。 Up & Down BIM:ただ健やかに生活していたいのに、やっぱり嫌なことってたまにありますよね。それを楽しめる度量が欲しいんですけど、なかなか。でも良いことがその後に待ってるのは、ほぼ確実っぽくないですか? 32年生きてきて、俺にはもうバレちゃってますよ。だからまぁって感じの曲だと思います。CreativeDrugStore(以下:CDS)で俺のビートを使ったのは初めて。ギターを弾いてくれたイギリスのシンガーソングライターのオンリー・リアルは俺らがルームシェアしてた時の思い出の曲を何個も作ってくれた人です。 Generic VaVa:「Taste Test」でもお世話になったDJ MAYAKUさんのビートです。ビートを聴いて、やっぱりMAYAKUさんはすごいなって思いました。このビートはとても難解なので、みんなで何のことについて歌うか提案する会があって。どんな音楽家も作る音楽にはレファレンスがあることが多いし、親子関係もそう。みんな何かしらのジェネリックだし、これはオリジナル!って言わないのが僕らっぽくて良いなって。みんながそれいいねってなってくれてうれしかったです。 Noisy JUBEE:YENTOWNのU-LEEくんにビートをいただきました。昔からの仲ですが、一緒に曲を作るのは初めてで、この機会に実現できて光栄でした。ビートも渋くて、USのノリを感じるカッコいいトラックだったので、すぐに決まりました。CDSの時は肩の力を抜いたリリックを書くことが多いのですが、今回も気持ち良さを重視して、メッセージを伝えるというよりは、思ったことを勢いでバッと書いたような感覚です。特に気に入ってるのは「海の向こうで遊ぶ為 したためて/LA, Paris まだ行けてないロンドン」の箇所。CDSメンバーの中で俺だけロンドンに行けていないので、このラインで行く夢を近づけた感じです(笑)。 残像 BIM:大人の方が「俺なんて中身まだ10代のままだよ。全然大人になれてない」的なことを言ってるのを何度か聞いたことがあって。以前は「へー」ぐらいだったんですが、今は「うんうん」となってます。大人って何なのか知ってる人は教えてください! そんな変わり切れない俺らがすこーしずつ変化や進化(退化かも)していく様を残像みたいに、はかなく残せていけたらと思います。 あのさ in-d:このEPで一番最初に出来た曲です! CDS的夏ソングがないってところからスタートした気がします。去年の夏前に、“夏”とは明言せず、メンバーそれぞれが夏のイメージでリリックを書きました。 イントロとフックでだいぶ曲の世界観は出ていると思いますが、VaVaくんのバースでグッとエレベーションする感じが素敵です。派手で華やかな夏もいいけど、もう少し良い意味で大人しい夏な感じ。あと単純にメロディも好きです。 基本的にCDSの曲では、自分のバースはそこまでメロディをつけることは多くないのですが、この曲ではオートチューンを使いました。