DON'T TRUST OVER THIRTY <デジタルリマスター盤>

ムーンライダーズ

DON'T TRUST OVER THIRTY <デジタルリマスター盤>

80年代、斬新なサウンド・スタイルとメンバー各人の旺盛なソロ・ワークによってシーンの最先鋭を指向する音楽集団として君臨していたムーンライダーズ。その活動が最も濃密だった1986年は鈴木慶一が発足させてからちょうど10周年の年で、この年の6人はライヴ、リリースともにバンド史上最大の仕事量をこなした。そんな熱波が頂点に達しようという中で生み落とされた本作は、まさに時代を超えたテンションを内包したアルバムだ。サエキけんぞう(当時、パール兄弟で活躍)の作詞による "9月の海はクラゲの海" はバンドが持つポップな側面を強調し、 "ボクハナク" では鈴木博文のリリカルな歌心が冴え渡る。その一方で、白井良明作の "超C調" にはアヴァンギャルドでシュールな空気が充満するなど、バンド内の分業体制が最上のバランスを見せる。そして後年のオタク文化の台頭を予見したような "マニアの受難" 、全員が30代を迎えた状況であえて唄った "DON’T TRUST ANYONE OVER 30" に至っては、自虐的というよりも自己批評的なスタンスを貫くこのバンドらしさが昇華されたもの。この後、次作発表まで5年間の休止したことからも、このアルバムに注がれたエネルギーが途方もない質量だった事実がうかがい知れる。

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