オーストラリアのメルボルンで結成され、ロンドン移住後に 4AD と契約してブレイクを果たした2ピース・バンド、Dead Can Dance。セルフ・タイトルである本作「Dead Can Dance」は1984年に発表された彼らのデビュー・アルバムで、比較的ポストパンク色の色濃い作品となっているが、ニューギニアの先住民族が儀式に使うというマスクをフィーチャーしたアートワークが示すとおり、民族音楽的要素を取り入れたトライバルな趣もある一筋縄ではいかない仕上がりを見せている。全10曲の収録のほか、ボーナス・トラックとしてシングル「Garden Of The Arcane Delights」に収録されていた4曲が収められているのもうれしい。初期パンクの衝動性と、ポストパンクの実験精神、そして確かなソングライティング力に裏付けられたポップ・フィーリング、それらすべてが結実した本作は、1stアルバムとは思えない完成度の高さだ。