Dance Fever

Dance Fever

フローレンス・ウェルチ率いるUKアートロックバンドの約4年ぶりの5作目。幽玄なバロックの世界に住まう女王の風格はそのままに、アンセミックなメロディとビートが交錯する躍動に満ちた作品に仕上がっている。パンデミックのさなかに制作されたというが、その閉塞(へいそく)した状況を打ち破ろうとする意思が感じられるアルバムだ。疾走感に満ちた「Free」を筆頭に、肉体と本能を信じてドライブする本作は、彼女たちのライブパフォーマンスの迫力を思い出させるものでもある。テイラー・スウィフトも手掛けるヒットメイカーのジャック・アントノフや、Glass AnimalsのDave Bayleyらがプロデュースを担当。フォークラップとでも呼ぶべき「Heaven Is Here」を聴くと、フローレンスが彼らと新たなポップの境地を目指したことがうかがえる。もちろん、彼女の悩みや精神的な苦しみは、ふとした瞬間の静寂やダークな音像の中に今なお息づいている。それでも勇壮なストリングスに乗せ、“母でも花嫁でもない、私は王だ”と高らかに歌う「King」のように、本作の彼女はその暗闇に立ち向かおうとしている。

オーディオエクストラ

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