本作「Cremations」は、USハードコア・バンド Some Girls のボーカリスト Wesley Eisold を中心とした Cold Cave の、エクスペリメンタルな音楽を繰り広げていた初期シングル、カセット・テープ、スプリット・シングル、未発表アルバムなどの入手困難〜入手不可となっている初期作品を集めたコンピレーション・アルバムだ。全20曲収録というボリュームと、とっかかりのつかみにくいハードコアかつノイジーな楽曲群に初めは怖気付いてしまいそうになるが、シンセが New Order や Joy Division を思わせる “Always Someone” をはじめ、よく聴きこめばその後名門 Matador からワールドワイドにリリースされた傑作アルバム「Love Comes Close」にも通じるポップ・センスを見つけることができるだろう。ぜひとも大音量で聴いて、ノイズとローファイの混沌の中から快楽性を見つけ出してほしい、実に示唆に富んだ1枚だ。