

これはいつかの自分が体験した記憶だろうか…。そう錯覚するほど、ありありとした情景が目に浮かぶ歌が並ぶ。メジャーデビュー10周年を飾る7作目のアルバムには、不器用でいじらしく、それでいて強がってしまう心のためらいが描かれている。ラブソングにおけるリアルなシチュエーションやもどかしいやり取りは、その感情をより鮮明に浮かび上がらせる。直情的なギターロックを軸としながらも、社会不安を落とし込んだ「hell see.」や「闘いは美しい」では、ポエトリーリーディングを思わせるアプローチで、むき出しの怒りや悲しみを吐露している。また、柿澤秀吉(秀吉)が共同アレンジャーとしてほぼ全曲に参加し、バンドスピリッツを研ぎ澄ませる一方で、「愛着」では亀田誠治がポップで切ないアレンジを添えている。凶暴そうな顔つきなのになんとも愛くるしい猫のアートワークは、“犬のふりをして本性は猫”な男の失恋を描いた「超やばい猫でごめんね」を聴いた後に眺めると、またいっそう味わい深い。