ピューリッツァー賞に輝いた作曲家/バイオリニストのCaroline Shawは組曲『Narrow Sea』で、19世紀に出版された『The Sacred Harp』に収録されている民謡や賛美歌の歌詞を巧みに用いて、魔法のような音楽を紡いでいる。5つのパートはそれぞれ川や海峡などの水のある場所をイメージしたもの。打楽器カルテットのSo Percussion、ソプラノ歌手のドーン・アップショウ、そしてピアニストのギルバート・カリッシュによるアンサンブルが創り出す驚異的なサウンドが、楽曲に生き生きとした響きを与えている。セラミックボウルや植木鉢を含むパーカッションやダルシマーのように直接弦をたたいて演奏したピアノによる快活でインパクトの強い音と、アップショウの極めて滑らかで心安らぐ歌声が見事に調和しているのも興味深い。『Narrow Sea』は心の故郷としての家と安息の地を表現する作品であり、この楽曲を奏でる上でこれ以上に美しい演奏はないだろう。最後に収録されている『Taxidermy』では植木鉢がよりフィーチャーされ、素晴らしい音を聴かせてくれる。