Caribou (Bonus Track Version)

Caribou (Bonus Track Version)

過小評価されているこの1974年の本アルバムは、ド派手なパーティーソング「あばずれさんのお帰り」で幕を開けながら、心地よいサウンドの変化を次々と遂げていく。アコースティックギターとピアノで奏でる愛のバラード「ピンキー」があれば、ギターを効かせたポップロックの名曲「グリムズビー(美しき故郷)」もあり、ひねりを加えたカントリーミュージック「デキシー・リリー(ショーボートが川を行く)」や、未知との遭遇を描いた映画的な曲「空飛ぶ円盤」までそろっている。暴力をテーマにした「ティッキング(母さんの言葉)」は考えされられるピアノの弾き語り曲で、アルバムの目玉となる「僕の瞳に小さな太陽」(ビーチ・ボーイズのメンバー2人がバックボーカルで参加)では、極上のハーモニーに乗せて裏切られた恋人の切ない嘆きがつづられる。エルトンはここで、失恋バラードを高揚感のある壮大なナンバーや拳を突き上げるロックソングと見事に調和させながら、当時のロックンロールの境界線がどこにあるのかを試してみせた。