この『Magnificat, Wq. 215』を聴けば、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハが父ヨハン・セバスティアン・バッハに勝るとも劣らない作曲家であったことが分かるだろう。1749年に書かれたこの作品には、確かに父の楽曲に似たエッセンスが含まれており、はつらつとした第1曲はヴィヴァルディをほうふつとさせるが、もちろん彼独自の音楽性も存分に発揮されている。そして、C. P. E.が後に続いたハイドンに多大な影響を与えたという、音楽史の興味深い1ページを思い出させる部分もある。また全体に活気に満ちた雰囲気の中にメロディの美しさが光る曲もあり、特に優しさにあふれた第7曲「Suscepit」は実に感動的だ。加えて本作には、本人のお気に入りだったという『Sinfonie D-Dur, Wq. 183』と、二重合唱のための『Heilig ist Gott』も収録されている。このアルバムは、C.P.E.バッハの比較的よく知られている鍵盤楽器のための楽曲以外の優れた作品に触れることができる、絶好の機会となるだろう。
- ベルナルダ・フィンク, フライブルク・バロック管弦楽団 & ルネ・ヤーコプス
- フィリップ・ヘレヴェッヘ, ラ・シャペル・ロワイヤル & コレギウム・ヴォカーレ・ヘント
- リナルド・アレッサンドリーニ & コンチェルト・イタリアーノ
- パトリツィア・クヴェッラ, カロリン・ワトキンソン, デイヴィッド・トーマス, ナイジェル・ロジャース, MUSICA ANTIQUA KOLN & ラインハルト・ゲーベル
- イングリッシュ・コンサート & トレヴァー・ピノック
- コンチェルト・ケルン