2012年のメジャーデビュー以来、ニューヨークを拠点に、ジャズのみならずジャンルを超えて世界で活躍する作曲家／編曲家／指揮者／ピアニストの狭間美帆。今作は、彼女の活動のベースとなっている、フレンチホルンやストリングスを含む室内楽団m_unitによるアルバム。第62回グラミー賞Best Large Jazz Ensemble Albumにノミネートされた2018年の『ダンサー・イン・ノーホエア』から約5年ぶり、4作目となる。リズミカルなホーンアンサンブルとストリングスが絡み合いながら強烈にスウィングする「Abeam」からスタートし、浮遊感の漂う「A Monk in Ascending and Descending」を経て、クリスチャン・マクブライド（B）をゲストに迎えた楽曲を含む大作『Exoplanet Suite』へと続く。そして、新鋭イマニュエル・ウィルキンスの流れるようなアルトサックスのソロと、変幻自在に展開するアレンジで魅了する「From Life Comes Beauty」まで、シンセサイザーなどの電子楽器に頼ることなく、アコースティックな編成でジャズの新たな地平を意欲的に切り開こうとしている。また、毎回作品の中に1曲収録されるカバー曲は、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの名曲「Can’t Hide Love」をセレクトし、ブラジル音楽的なアレンジで作品全体に清涼感を与えている。メジャーデビュー10周年を迎え、さまざまな経験を経て生まれた、自信と確信に満ちあふれた会心のアルバムといえるだろう。