磨き抜かれたテクニックと、エネルギッシュかつ優美な表現で高い評価を受けるバイオリニスト、Midoriこと五嶋みどり。11歳にしてニューヨーク・フィルハーモニックと共演して大きな注目を集め、それ以降、最高峰の指揮者たちや著名なオーケストラと数々の名演を重ねてきた彼女が、デビュー40周年を記念してリリースしたのが本作『Beethoven Sonatas for Piano and Violin』だ。ベートーヴェンによる偉大なバイオリンソナタを全曲収録したこのアルバムでMidoriのパートナーを務めるのは、これまでにも多く共演してきたフランスの名ピアニスト、ジャン=イヴ・ティボーデ。2人の息の合った抜群に切れ味の良いパフォーマンスは、『Sonata No.1』の冒頭のわずか10秒でリスナーの心をつかむ。また、光輝に満ちた『Sonata No.5 “Spring”』では、包み込むような優しさの中に強い意志を感じさせるMidoriの演奏が印象的だ。そして『Sonata No.9 “Kreutzer”』では、卓越した技術に裏打ちされた情感あふれる演奏で、ベートーヴェンの音楽的野心を余すところなく描き出す。