ベートーヴェンの交響曲を聴く際に、指揮者として真っ先にホルディ・サバルを思い浮かべる人は多くないかもしれない。しかし好奇心を持って幅広い音楽に取り組むサバルは、ベートーヴェンにおいても期待を裏切ることなく高い音楽性を発揮する。このアルバムでは、彼が設立した古楽器による室内楽団Le Concert des Nationsに若い演奏家らを加え、5つの交響曲を刺激的に解釈。後半の4つの交響曲を除く「第1番」から「第5番」まで大きなステップをたどっていきながら、特別な音楽体験をさせてくれる。サバルの指揮するベートーヴェンは、軽快でウィットに富みながらパンチ力があり、まさに極上の味わいだ。特に、「第1番」と「第3番」からはスリリングな雰囲気を味わうことができる。