スタッフメモ アメリカで年間最多セールスを記録、グラミー賞の主要4部門を制覇するなど、2019年を代表するアルバムとなったビリー・アイリッシュのデビューアルバム。このエポックメイキングな一作が、弱冠17歳の少女が兄と二人で、ホームレコーディングのDIYで作り上げた作品であったことは世界を驚かせた。エレクトロミュージックやソウル、ゴスにフォークといったあらゆるジャンルをヒップホップを前提とした世代のビート感覚でフュージョンしていく本作は、極端にローが強調されたサウンドメイクが特徴。ミニマルな骨組みの中を漂うサブベースによって厚みを増し、メロウネスや空虚感に満ちた暗いムードは、未来に対する漠然とした不安を漂わせる今の空気を象徴するものでもある。「一人で家にいる静けさが好き」と強がってみせる"when the party's over"や、「みんなの副流煙にまみれながら缶入りコーラを飲んでいる」と、醒(さ)めた自分を描写する"xanny"など、彼女が歌うのはSNSや友人の輪の中で深まっていく孤独や自己嫌悪であり、それは彼女と同世代のキッズにとってあまりにもリアルな心境の吐露だった。サビもコーラスも持たないメロディにビリーの呟きのような歌声がそっと重なる"bad guy"が、そのアンチクライマックスな曲構造にもかかわらず熱狂的に支持され、大合唱を誘うアンセムと化したように、彼女は本作でこれまでの「ポップ」の定義を覆した革命児でもあった。

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