オンラインを利用した演奏やソーシャルディスタンスに配慮した形態による演奏によって、アーティストらはロックダウンの最中も、不可能と思われた綿密なアンサンブルを可能にしてきており、本作はまさにその例を示すものである。『Redemption』では、バッハの神聖なるカンタータの中から選りすぐりの楽章が集められている。ソプラノのアンナ・プロハスカと器楽アンサンブルLautten Compagneyは、驚くほどの一体感で「BWV 115」の痛切な祈りの呼びかけを鮮明に描き、続く「BWV 25」では物理的な距離を感じさせずに絶妙な多声音楽を聴かせる。プロハスカは、バッハの至高の一つである「Ich habe genug」(BWV 82a)でひときわ輝きを放ち、器楽のみによる楽章は荘重な清涼感を醸し出している。混乱した現状の中、深く心を打つ癒しのアルバムだ。
- 2020年
- ドロテー・ミールズ & フライタークスアカデミー
- ヌリア・リアル & Artemandoline
- パトリツィア・コパチンスカヤ, イル・ジャルディーノ・アルモニコ & ジョヴァンニ・アントニーニ
- ジョイス・ディドナート, Franco Fagioli, Elsa Benoit, ルカ・ピサローニ, ヤクブ・ユゼフ・オルリンスキ, イル・ポモ・ドーロ, マキシム・エメリャニチェフ, アンドレア・マストローニ, カルロ・ヴィストーリ, ビアジョ・ピッツーティ & Marie Nicole Lemieux
- ドロテー・オーバーリンガー, Dmitry Sinkovsky & アンサンブル1700
- RIAS室内合唱団, カペラ・デ・ラ・トーレ, カタリナ・ボイムル & フローリアン・ヘルガート
- ベルリン古楽アカデミー, ベルンハルト・フォルク, ビー・ロック・オーケストラ, Dmitry Sinkovsky, ラ・ヌォヴァ・ムジカ, デイヴィッド・ベイツ, マグダレナ・コジェナー & フランチェスカ・アスプロモンテ