Bach: Goldberg Variations


フランスのハープシコード奏者Jean Rondeauによるバッハの『ゴルトベルク変奏曲』は、通常73分から80分の演奏時間に対し、107分という壮大なスケールで演奏される。ただしRondeauは全曲をゆっくりとしたテンポで演奏したわけではない。その代わりに彼は、アリア終盤の再現部も含め、すべての繰り返しを取り上げ、さらに多くの装飾音も加えている(もちろん、変奏曲XVとXVIの間では大きな空白がとられる)。本アルバムでは、レコーディング以前のRondeauのコンサートでの経験や深い考察を語っているかのようだ。オペラのアリアのように展開する「変奏曲XIII」、きらめくような対話の「変奏曲XX」、そして「黒い真珠」の名でも知られる「変奏曲25」は特に印象的であり、見事な演奏が繰り広げられている。