あらゆるものの真ん中で

スタッフメモ 作品を重ねるごとに、深遠な歌声とオーガニックなサウンドで、“森山ワールド” としか言いようのない独自の音楽的地平を切り開き続けるシンガー・ソングライター、森山直太朗。前アルバム「諸君!!」から実に2年3ヶ月振りとなるオリジナル・アルバムは、日本のアコースティック・ギターの草分け的存在である石川鷹彦をサウンド・プロデューサーに迎え、よりシンプルで、優しい温もりに満ちた作品となった。本作では、彼の代表曲である "さくら(独唱)" や "生きとし生ける物へ" といった、聴く者を楽曲の中に飲み込んでしまうようなスケール感に満ちた楽曲は鳴りを潜め、そっと心の琴線に触れる穏やかなメロディとサウンドがアルバムの基調になっている。“花鳥風月”、“雨だけど雨だから” など、歌い手の息づかいや感情の揺れまでもが伝わってくるような、じんわりとした温かみを持った楽曲が、本作の真骨頂と言えるだろう。パッと聴きの派手さはないものの、聴き手の胸に静かな余韻を残す、何度となく聴き返したくなってしまう1作だ。