ANIMA

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トム・ヨークの過去2作のソロアルバムが、「実験のための実験」と呼ぶべきゴールを定めないエクスペリメンタルの探求の場だったとしたら、3作目の本作は彼が初めてゴールを目指したアルバムだ。デモ段階の収録曲を繰り返しライブでプレイすることで、次第に即興のループやブレイクビーツと生演奏を融合し、等しく血肉化していく作業であるそれらのライブが、本作の予行演習になったようだ。複雑に張り巡らされた神経回路をビートが高速で疾走するような「Traffic」や、パルス音のようなドラムサンプリングをトムが自ら弾くベースが荒っぽく突き上げていく「Impossible Knots」など、ライブミュージックとエレクトロニックミュージックの垣根を軽々越えていくナンバーの数々は、まさにその血肉化の成果だろう。また、映画『サスペリア』のサウンドトラックでオーケストラやクワイアを采配したトムの経験は、ディストピアをテーマとしたという本作に相応しい空間の奥行きを生んでいる。

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