本作でConrad Taoは、過去のアメリカにおける社会的な出来事とつながりをもつ作品を集めて演奏している。彼自身が感じる社会の狂気を音楽で描くかのように、力強く、また時世を感じさせる内容となった。冒頭と最後を飾るFREDERIC RZEWSKIによる2つの作品は、実際の事件に対する不正と偏見をテーマにしており、Taoの激烈なピアニズムを感じることができる。アーロン・コープランドが1941年に作曲した"Piano Sonata"は、作曲者にとっては最も個人的な作品の一つであり、まさにアメリカといった趣きが強く心に残る。Julia Wolfeによる"Compassion"は、9/11アメリカ同時多発テロ事件において多くの人々が背負った悲しみを、暖かく包み込むような音楽。Taoは優しさと怒りの両面を見事に表現し、印象的な演奏を繰り広げている。示唆に富んだ充実のアルバムである。
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