数々の創造性豊かなサウンドトラックで知られる映画音楽の名作曲家、アレクサンドル・デスプラ。彼はこのアルバムで自身の映画音楽を、フルートとオーケストラのための輝きに満ちたコンサートピースとして再構築した。幼い頃にフルートを学んでいたデスプラは、この楽器の響きを生かす作曲方法を熟知している。フルート奏者のエマニュエル・パユは冒頭の組曲『The Shape of Water』の美しくたゆたうようなメロディを卓越した技術で奏でており、色彩がさまざまに変化するような『Girl with a Pearl Earring』や、哀愁に包まれた『Lust, Caution』でもその見事な演奏力が余すところなく発揮されている。本作はこれらの映画音楽に加えて、2つの演奏会用の作品も収録。フルートのための協奏交響曲『Pelléas et Mélisande』はデスプラのドラマチックな側面が現われた作品で、フルートの独奏のためのタイトル曲「Airlines」ではパユの驚異的なテクニックを心ゆくまで味わうことができる。