小坂明子の透明な歌声が、楽曲の純粋な世界と共に美しく表現されたアルバム。1974年11月リリースの2作目で、当時の彼女は17才。この年初頭からの「あなた」（1973年）の大ヒットの余波を受けながら、シンガーソングライターとしての自分に向き合いながら制作に取り組んだ。自作曲を中心としながらも、早川 義夫の「サルビアの花」、松田晃の「あなたの心のかたすみに」といった同じヤマハ系列に所属するシンガーの名曲もカバー。そして「あなた」のその後のストーリーを歌った「もう一度」、さらに「丘の上の教会」と、この時期のシングル曲を収めている。あどけなさが残るボーカルと萩田光雄を中心としたアレンジャー陣によるソフトロック的で華麗なアレンジが相まって、彼女の清らかさが際立った。デビューアルバムである前作『あなた 小坂明子の世界』（1974年）に続いて再び「あなた」も収録。タイトルから伺えるように、小坂自身の豊かな想像力こそがその音楽の源であり、彼女の歌の世界を作り上げていることが伝わってくる。