「初めてのアルバムなので、完成してホッとしています」。20歳の節目にファーストアルバム『20』を完成させたLANAは、Apple Musicにそう語る。2022年に本格的な音楽活動をスタートさせてから、10代後半を圧倒的な勢いと濃密さで駆け抜けた。「このアルバムに入ってる曲は、今まで以上に自分に素直に、とげとげしいことも包み隠さずに歌っていて、嘘がないし、きれいに取り繕おうとしていない。そういう意味では挑戦でもあって。結構面白い作品になってると思います」と彼女は言う。一度聞いたら忘れられないハスキーボイスに、時にこぶしをきかせながら紡ぎ出すメロディ。その広がりは、ヒップホップ、R&Bを軸に、ダンスミュージックやポップ、バラードと、ジャンルを超えてリスナーに届けられる。 「タイプビートやトラックを聴きたい時に聴いて、最初は歌詞よりフロウ。気持ちいいもの、面白そうなものを考えて、フロウが決まったら、何を歌おうか考えるときもあるし、そのトラックの雰囲気で歌詞が決まるときもあったり、結構バラバラ。最近は書きたいことを書いた後に、それをトラックに乗せることの方が多いかな」とLANAは曲作りについて説明する。彼女が音楽活動を始める際に後押ししてくれた実兄のLEXをはじめ、Watson、Candee、ZOT on the WAVEをフィーチャーした本作はサウンドの多彩さと共存するLANAの揺るぎないパーソナリティやメッセージが鮮烈な印象を放っている。 「私自身、保守的になりたくないんです。聴いてくれている人、周りの人が違うんじゃないかって思い始めたら、それはそれというか。もちろん、みんなのためにも歌ってるけど、自分の人生なのでそこは変えたくないですね。そして、今は日本のディーバになりたい。それしか考えてないかな。もちろん世界にも出ていきたいけど、私は日本人だし日本で生まれて育ってるので、世界に行くまでの道のりも大切にしたいし、ちゃんと地に足をつけて進んでいけたらなって」。これまでの歩み、その過程で感じた思いが凝縮されたアルバム『20』について、ここからはLANAにいくつかの楽曲を解説してもらおう。 Street Princess この曲、お気に入りです。アルバムを作る上で、どんな曲を作ろうか考えている時期に、ギャルとギャルじゃない人について考えさせられたというか、実際はギャルじゃないのにギャルぶっている人に対して抱いた疑問が基になった曲ですね。ギャルであることはファッションじゃないんだよという気持ちだったというか、私は表面上装うような人にはなりたくないという気持ちも込めて書きました。4バース目にクラップ音があるんですけど、空間オーディオで聴くとそれが本当に真横で手を叩いているような音に聞こえるのもすごい。 No.5 「No.5」というタイトルはシャネルのN°5から取りました。シャネルのN°5には「女性そのものを感じさせる、女性のための香り」という意味であったり、他にもいろんな意味があるらしく、そうしたエピソードが素敵だなって。そして、シンプルにシャネルのN°5という香水が好きなんです。私は匂いとか感触、五感を信じて生きているタイプの感覚人間なんで。今、自分の感覚に自分が持てているのはファンの子たちや周りの人たちのおかげだと思っているので、本当に感謝しています。 For Life 何かにめちゃくちゃイライラしていた時に書いたものなんですけど、今回のアルバムにおいて一番挑戦した曲です。韻をここまで突き詰めて考えたことないし、ヒップホップ的な観点で落としどころを考えながら作ったのもこの曲が初めてで。「自分に作れるかな」って思ったけど、それ以上に人に対して、世の中に対して思うことが強かったから、殴り書きするように書きました。この曲も結構お気に入り。 HATE ME 15歳の時、落ち込んでいる私を見た兄(LEX)から「曲を作って解消してみたらいいんじゃない?」と言われて、人生で初めて作った曲です。自分に出来るかなと思ったけど、助けてくれた彼には本当に感謝しています。自分が変わる大きなきっかけになった曲なので、このアルバムのタイミングで出せてめちゃくちゃうれしいです。この2年はいろんな人に知ってもらうにはどうしたらいいんだろう、どうしたらみんなの頭に残るような歌詞や曲を作れるんだろうとすごい考えてきたんですけど、ここからはもっとLANAらしい音楽を届けていきたいですね。
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