コロナ禍の隔絶された日々において、アンビエントなサウンドとともに内面と外界を行き来しながら、夢と現実の接点を模索した3年ぶりのサードアルバム。2016年以降、バンドという形態にとらわれないドリームポップを追求してきたThe fin.が、本作では歌と演奏、プロデュースからミックスまでほぼすべてをYuto Uchinoのワンマンレコーディングで制作。ドリームポップと表裏一体のリアリティとも相対することで、時代の流れの速さをものともしない強度の高いサウンドを獲得している。2021年9月に発表した『Acoustic Versions』収録の「Old Canvas (Acoustic Version)」でも際立っていた美しいメロディを主軸に、US、UKのインディーポップはもちろんのこと、ダウンテンポやエレクトロニカ、オルタナティブR&Bに加えて、シンセサイザー主体のアレンジからはアンビエントやニューエイジの影響が色濃く表出。紡がれる一音一音が心に潤いをもたらすように深く響く。