メンバー5人が全く異なる方面の才能を持つバンド、ジェニーハイ。約2年ぶりとなるセカンドアルバムは、彼らの個性と多様性がいっそう際立つ作品となった。恋愛や仕事で迷ったり悩んだりしながら生きる女性の繊細な心を描く歌は、その背景にある時代のムードや社会情勢も映し出す。メイクをモチーフに弱さと強さの間で揺れる女心を歌う「華奢なリップ(feat. ちゃんみな)」、夢を抱きながら黙々とバイトに励む女性たちの物語「バイトリーダー典子」、さまざまなしがらみから抜け出した朝の光景を描く「シャンディー」。メンバーでソングライター／プロデューサーを担当する川谷絵音は、これまでの常識がどんどん覆される2020年代の空気を的確に捉え、ユーモアと遊び心をもって鮮やかなポップに落とし込んでいく。「ジェニーハイボックス」や「ジェニースター」のように5人がラップパートを担うナンバーは、ふぞろいの個性が寄り集まったバンドだからこそできる離れ業。他の誰とも似ていない自分たちらしさを楽しむ開放的なムードに満ちている。