1/6 Lonely Night

1/6 Lonely Night

横浜銀蠅を思わせるリーゼントに学ラン姿、絶妙な振り付けとMCで米米CLUB並みのエンターテインメント精神を見せるパフォーマンス力。全国的に影をひそめていたヤンキー文化を音楽で復権させた氣志團の、2002年発表のメジャー・デビュー作である。アクの強すぎるイメージゆえに、肝心の音楽性のほうは見過ごされがちだが、楽曲のクオリティは高い。青春や友情、衝動といった、荒ぶる若き魂を熱く描写する歌詞。それを乗せるサウンドは歌謡曲メロディにビートパンク、さらにはクラップ音も聴こえる "涙BOY 涙GIRL" のように、80’s を思わせるポップ・ロックが主体だ。その助力をしているのは、かつてユニコーンで規格外のセンスを見せつけた阿部義晴。フロントマンの綾小路翔はソングライターとしての優れた才も見せ、メンバー各人はプレイヤーとしても芸達者揃い。そして冒頭と終幕にはバイクのエンジン音が聴こえるなど、自称「ヤンク★ロック」の世界が満開である。もちろんこれは多分にフィクショナブルなものではあるが、それよりも彼らがデビュー時点でここまでの物語性を持つバンドだった事実には驚嘆する。渋谷系やクラブ・カルチャーが文科系エリアから発信されていたのに対し、あえてヤンキー文化から切り込んだ氣志團の野心と実行力は評価されるべきである。

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