あざやか

あざやか

シュガーベイブや初期の大貫妙子にまでさかのばらなければ見ることができなかった風景を、こともなげに00年代(ファーストは’99年)によみがえらせてみせた空気公団は、その表現形態を音楽に絞ることなく映像や出版などさまざまな形で展開してきたが、4枚のアルバム(ライヴ盤も含む)と多くのシングル/ミニアルバムを残してその活動を2004年にいったん停止する。本作は、2005年におこなわれた、写真家の TAKAMURADAISUKE とのコラボレート写真展「おはようあさ展」を皮切りに動きだした第2期空気公団にとって最初のアルバムとなる。山崎ゆかりと戸川由幸という、グループの中心的役割を果たしてきた2人になった新生空気公団からまず確認できるのは、余計なものを次々とそぎ落として、より演者の「個」に近づいた生々しさだ。もちろん、山崎ゆかりが描く、誰もが自分にもいつかあったような気にさせる匿名性の高い風景描写は依然として健在だが、楽曲のアレンジ面においてこれまで肌感覚としてあった人懐っこさとでも呼べる要素はあまり見受けられず、たとえるなら、バンドからソロ活動に移行していったいにしえのアーティストたちが、総じてシンプルなアンサンブルを採用していった歴史を思わせもする。そしてそれはキャリアと共に積み上げられた自信の表れでもある。

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